お仕事コラム 第43回 【あたりまえのこと】
2020年12月掲載
「信号よーし、発車。」路面電車の若い運転士が背筋を伸ばして指差し確認の後、握ったレバーを押しました。
乗客の座席からその様子はほとんど見えません。
ある朝ビルの工事現場の前を通りかかると、フェンスの隙間からラジオ体操をしている多くの作業員の様子が見えました。
音楽に合わせて声を出し、大きく体を動かしていました。
指差し確認までしなくても、事故が起きることはまずないだろうと私は思います。
ラジオ体操にしても、この時期わざわざ狭い場所に集まらなくても、各自が体をほぐして現場に来ればよいのではないかと思います。
それでも仕事や作業の現場でそのような動作を続けているのは、安全のためのあたりまえの基本とされているからなのでしょう。
どのような仕事にも、就職活動においても基本動作があります。
挨拶や姿勢はもとより、就職活動なら応募書類の書き方や面接の立ち居振る舞いなどです。
基本があたりまえにできていると、作業効率や安全性だけでなく、その人の印象や信頼の向上にもつながります。
この一年、経済や地域の状況に影響を受けて困惑しながらも、いつもどおりに仕事を続けた方も多いことでしょう。
図らずも就職活動を続けることになった方もいるでしょう。その中には、「今年は成果や成長が何もなかった」と思う方もいるかもしれません。
でも、本当にそうでしょうか。困難な状況の中でもあたりまえに続けられたあたりまえのことがあれば、それは自分自身の力や成長の賜物と考えてよいと、私は思います。
今年私は、仕事の有無にかかわらず、ほぼ毎日事務所に出勤し続けました。
身近な人と接することで思いや動きがわかり、仕事や心のバランスが保たれたからです。また、声を出すことや周囲への声かけを、もっと増やした方が良いと気づきました。
皆さんは今年、あたりまえに続けたことや、自分が変わったと気づいたことはありますか?
キャリアコンサルタント 久保賢司