大学生の就職活動が本格化 人手不足受け採用活動の早期化進む

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大学生の就職活動が本格化 人手不足受け採用活動の早期化進む

各地で企業による合同説明会

各地で企業による合同説明会


来年春に卒業する大学生の就職活動は企業による学生への説明会が1日から本格化し、各地で企業による合同説明会が開かれました。

深刻な人手不足を受けて企業の採用意欲は強く、採用活動の早期化が一層進んでいます。


千葉市の幕張メッセでは就職情報大手が主催する合同説明会が開かれ、メーカーやサービスなどおよそ160社がブースを設けました。


会場にはおよそ1200人の学生が訪れ、このうちホテルの運営企業のブースでは、採用担当者が勤務時間を柔軟に調整できることや英語などの研修が充実していることなどをアピールしていました。


来年春に卒業する大学生や大学院生の就職活動は政府が決めたルールでは1日から企業の説明会が始まりますが、法的な拘束力がないことから、人手不足などを背景に企業の採用活動は年々早くなっています。


ホテルの採用担当者は、「内定後に辞退する学生も増えているので、内定までの過程でも学生となるべく多くコミュニケーションをとっていきたい」と話していました。


参加した男子学生は、「若いうちから挑戦できる環境があることを重視している。

焦りはあるが、自分のペースでやるのが一番だと思う」と話していました。


イベントを主催したマイナビの高橋誠人編集長は「学生優位の売り手市場がことしも続いている。

学生からは同級生がすでに内定をもらって不安だという声も聞くが、自分のしたいことや強みを再確認して前向きに就活を進めてほしい」と話していました。



26年卒 内定率すでに4割


リクルートが来年・2026年春に卒業予定の大学生900人余りから回答を得た調査では、2月1日時点の内定率が39.3%と、前の年の同じ時期を15.4ポイント上回りました。


内定を得た企業の業種を複数回答で尋ねたところ、情報通信業が32.4%、サービス業が17.5%、機械以外の製造業が12.1%などとなっています。


ただ就職活動を続けていると答えた大学生は84.8%と、内定を得たあとも活動を続けている学生が多いことが分かります。


学生が取得する内定や内々定の数は増加傾向にあり、ことし春に卒業する予定の学生1600人余りに聞いた調査では、1人当たり平均で2.74社の内定や内々定を得ているということです。


一方、エントリーシートなどを提出した企業の数は平均で12.3社と前の年より減っていて、企業を絞り込んで活動する動きが見られます。


専門家は「人手不足の中、少ない活動量でも内定がとれてしまう状況になっていて、就職先を安易に決めてしまったと振り返る学生も多く見られる」と指摘しています。



政府ルールあるものの…


政府は経団連や大学の関係者と協議し、毎年、就職活動のルールを決めています。


政府のルール(来年春に卒業予定の学生)

企業による説明会などの開始:大学3年生の3月1日以降

採用面接の開始:大学4年生の6月1日以降


しかし、このルールには法的な拘束力がないことから、すでに採用活動を始めている企業が多いのが実情です。


リクルートがおよそ1200社に聞いた調査では、来年春に卒業予定の学生について、大学3年生の2月までに

▽対面の面接を始めるという企業は51.2%

▽内定や内々定を出し始めるという企業は43.3%に上りました。


いずれも前の年から10ポイント以上増加していて、人手不足を背景に採用活動の早期化が一層進む状況になっています。


「リクルート」が1400社余りから回答を得た調査では、この春に卒業予定の学生について、採用予定数を「確保できた」と答えた企業は37.2%にとどまっていて、60.3%が「確保できなかった」と答えるなど、厳しい採用環境が続いています。


中でも従業員数が少ない企業では、採用予定数を確保できたと回答した企業の割合が低く、▽300人から999人では33.5%▽300人未満では36.6%となっています。



企業は学生との接点増へ


大手電機メーカーの日立製作所では来年春に卒業予定の大学生などを対象とした説明会などの募集を、1日から本格的に始めることにしています。


会社によりますと、就職活動の早期化が進んでいることから応募してきた学生がより早く内定を出すほかの会社に就職してしまうケースも増えているということです。


このため会社では、大学3年生の夏以降に実施するインターンシップの枠を今年度は前の年度の1.2倍余りのおよそ1130人に増やしたということです。


また来月にかけて開く社員との座談会などについても、事務系の職種では今年度、前の年度の4倍にあたる最大8000人が参加できるようにするなど、学生と接する機会を増やし、人材の確保につなげようとしています。


採用担当 小林義明主任

「早く内定を出す会社に就職する人は年々増えてはいるが、会社としてはそこに追従するのではなく、学生が納得のいくキャリア選択をできるような採用活動をしていきたい」


専門家 “採用競争は激化の流れ”

リクルートの研究機関「就職みらい研究所」の栗田貴祥所長は、就職活動の見通しについて「中長期的に労働人口が減少していく傾向は変わらないので、学生に優位な状況が続き企業にとっては採用競争が激化していく流れになる」と話しています。


そのうえで「採用競争の激化を受けて各企業で採用計画を充足させようという意思が働き、選考を早い時期から行ったことが内定率の高さにつながっている」と指摘しました。


そのうえで就職活動を行う学生に対して「学生にとっては追い風が吹いている状況だが、だからこそ自分自身が将来どういうことを大事に生きていきたいかや、どういう働き方をしたいか、考えを深めてほしい。

焦って決める必要はないのでじっくりと吟味して決めることが重要だ」と話していました。


配信元:NHK NEWS WEB

配信日:2025年3月1日


今回のこの報道に関して


2026年春卒業予定の大学生の就職活動が本格化し、企業の採用活動の早期化が一段と進んでいます。

深刻な人手不足を背景に、企業側は学生との接点を増やし、早期の内定出しを加速させています。

実際、2月時点での内定率は約4割に達し、前年を大きく上回る結果となりました。


政府が定めた就活ルールでは、企業の説明会は3月1日以降、採用面接は6月1日以降とされていますが、法的拘束力がないため、すでに多くの企業が面接や内定出しを進めています。

特に中小企業は採用競争の激化に苦戦しており、予定通りの採用数を確保できていない企業が多い状況です。


一方で、学生側も内定取得の傾向が変化しており、平均で2.74社の内定を持ちながらも、約85%が就職活動を継続しています。

企業を絞り込んでエントリーする動きが進む一方、内定辞退も増加しており、企業側はインターンシップや座談会などを通じて学生との接点を増やし、納得感のある採用を目指しています。


専門家は「労働人口の減少が続く中で、採用競争は今後も激化する」と指摘しており、企業にとっては戦略的な採用活動が求められる時代となっています。

学生にとっては売り手市場が続くものの、焦らず自分に合った企業を慎重に選ぶことが重要です。

早期化する就職活動の中で、どれだけ自分のキャリアビジョンを明確に持てるかが、今後の就活成功の鍵となるでしょう。

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