2018年8月掲載
この夏、故郷へのUターン就職や就労を考えた方もいるでしょう。
定年後を見据えて、転職や起業を目指して、あるいは家族の暮らしや教育環境を変えようとして。
きっかけはいろいろでしょう。
夏休みに帰省して故郷の良さを実感したり、実家の問題に直面したり、同窓会で友人の話に感化されたり。
今すぐではなくても、将来は故郷に帰りたいとの思いを巡らせた方もいることでしょう。
内閣府の「高齢者の日常生活に関する意識調査」(2014年)によると、仕事を持つ60歳以上の方のうち4割以上の方が「働けるうちはいつまでも働きたい」と、高い就労意欲を持っています。
その背景には、人生100年とも言われ始めた昨今、年金だけで生活して行くことが厳しいという現実もあります。
また、働くことで、社会との接点や健康を維持したいという理由もあるようです。
定年後の方であれ、現役世代の方であれ、起業を目指す方であれ、Uターンして働こうとすると、それまでの生活や仕事との変化やギャップは当然あります。
「求人が少ない」「給与水準が低い」「マーケットが狭い」「人が保守的」など。
物足りなさを挙げていたらきりがありません。
懐かしの故郷の現実と折り合いをつけることは、甘いことではないのかもしれません。
それでもUターンして、その土地に根差して地域の人々と暮らし働こうとするならば、自らの価値観や働き方を見直してみることも必要ではないでしょうか。
「物価が安く、環境も良い」「未開拓のマーケットがある」「郷に入っては郷に従えば、良いこともある」など。
価値観を柔軟にしてみたり、働くうえで大切にしたい芯や軸を確認してみたりすることが大切と思います。
Uターンして働くことは大きな転機です。
新しい職場や地域社会の“新入社員”になるつもりで仕事や人に向き合ってみましょう。そうすれば、「人間到る処青山あり」と、私は思います。
キャリアコンサルタント 久保賢司