2024年1月掲載
「自分が行きたいから、一人で行くと決めました。」彼女はさわやかに言いました。
一月後に、転職先の会社の海外の事業所で、資格とスキルを活かして働き始めるというのです。
そう決めるまで、家族や友人からは反対されたり心配されたりしたそうです。
住む所の治安は大丈夫なの。新しい環境や仕事に慣れるのに苦労しないか。
もう少し様子を見てしっかり準備してからでも良いのでは。
わかってくれる人はほとんどいなかったそうです。
もちろん、心配してくれることはありがたいけれど、今やらないと後悔すると思ったから決めたと、彼女は話しました。
「どうなるかやってみないとわからないですけどね。」彼女の表情はほんの少し不安げにも見えました。
自分がどうしたいかをもとに、自分が決めてやってみる。
彼女の話を聞きながら、私ははっとしました。
知らない世界がまだまだあることや、無意識に自分の限界を決めつけていることも多いのだろうと気づいたのです。
彼女は、急に思いついて海外で働くことを決めたわけではないのです。
数年前から、仕事を掛け持ちして働きながらお金をため、英語を勉強し、現地の情報も集めていたのです。
海外で働くことに希望を持ち続けて、タイミングを計っていたのです。
ただ世間の様子見をしていただけではなく、他人の意見に流されることもなく、自分のタイミングで物事を決めて動くことにしたのでしょう。
やるかやらないか。
やった方がいいと思うけれど、失敗が恐い。
人と違った事をするのは、人目が気になる。
不安は誰にもあるでしょう。
そんな目の前の選択で迷った時は、少し先のありたい自分の姿をイメージしてみると、次の一歩が決められるかもしれません。
人に相談したり頼ったりしても、決めて動くのは自分自身なのですから。
私には大胆に思えた彼女の決断は、彼女にとってその先の夢に近づく小さな一歩なのかもしれません。
キャリアコンサルタント 福積千佳子