2023年12月掲載
「経験が生かせると思って応募したのですがだめでした。年齢が問題なのでしょうか。」
勤務先の廃業により、期せずして転職活動を始めた中年男性は言いました。
そしてこう続けました。
「正社員にこだわってもらちがあかないので、派遣の仕事からやってみます。」
転職や再就職の相談に来られる方の中に、いわゆる「年齢の壁」を訴える方は少なくありません。
一定の年齢を超えると就職が難しくなるというものです。
法律では、事業主は原則として募集や採用において年齢制限をしないことが義務化されていますが、年齢の高い方が「壁」を感じることも現実でしょう。
年齢不問とされながら、実際には若い応募者が有利という話も耳にします。
では、なぜ年齢が若い方が有利なのでしょうか。
それは、仕事を覚えて、こなせるようになって、キャリアを作って行くためには長い年数がかかる場合があるからです。
また、同じ職種でも企業によってやり方やレベルが違うため、前職のくせが少ない方がなじみやすいと考えられるからでしょう。
では、年齢の高い方はどうすれば良いのでしょうか。
あきらめることはありません。一つは、壁のどこかに入口を探すことです。
経験のある職種にこだわらずに、他の職種にもチャレンジしてみるのです。
あるいは、壁を飛び越そうとせず、壁の前に階段をつけるのです。
例えば、正社員希望なら、紹介予定派遣から正規雇用を目指すことや、正社員登用制度のある企業の契約社員に応募するなどです。
もちろん、そう簡単ではないかもしれません。
しかし、できない理由を探して立ち止まっているよりも、どうすればできるかを考えて動いている方が、自分の表情や態度にも力が感じられるのではないでしょうか。
壁を越える知恵も出てくることでしょう。
壁という目に見えないものによって、自分の進路を左右されていないでしょうか。
壁はあなた自身が作っているものかもしれません。
キャリアコンサルタント 久保賢司