2023年4月掲載
「おかげさまで正社員になれました」と、
電話の女性は明るい声で報告してくれました。
就職先の試用期間の途中で、早く正社員になれたというのです。
社員の数も多く有名な会社の希望した職種だというのです。
この女性は、コロナ禍の中初めて社会に出たものの、職場の人間関係がうまくいかなくて辞めたことや、試用期間の途中で退職を促されたこともありました。
今の会社に就職するまでの間も、何度も書類選考で落ちたり、面接官から厳しい言葉を言われたりしたこともありました。
私には、自信を無くしてつらそうに見えた時期も長くありました。
私が彼女に新しい職場の様子を聞くと、「上司も先輩もやさしくて仕事をよく教えてくれるし、教わったことは任せてくれます。」と嬉しそうに話しました。
仕事の内容を尋ねると、「学校で学んだことが生かせそうだし、研修もしっかりしているので、私もがんばろうと思います。」と素直に話してくれました。
彼女は20代前半。
いわゆる「Z世代」です。
この世代の特徴の一つに、自分のキャリア形成を重視する面があると言われます。
自身の能力やスキル、成長を大切にする傾向が強いのです。
また、子供の頃からインターネットのある環境で育った世代でありながら、職場の人間関係や対面コミュニケーションを重視するとも言われます。
自分が成長できる環境や育ててくれる人がいるかという事が大切なのでしょう。
ただ、成長のスピードは必ずしも企業の求めるものでなく、自身のスピードで良いという考えもあるようです。
私は彼女に、これからもあきらめずに努力することや、つらい事があっても一人で悩まずに助けてもらうことを忘れないようにと言いました。
自分を育ててくれる上司や先輩に「おかげさま」という感謝の気持ちを忘れないようにと伝えました。
電話の終わりに、「ありがとうございます」という彼女の力強い声を聞いて私も明るい気持ちになりました。
キャリアコンサルタント 久保賢司