2022年9月掲載
キャリアコンサルタントの福積千佳子です。
最近、私が就職や働き方について相談を受けていると、職場や仕事に希望することの中に、「安定」という言葉がよく聞かれるようになりました。
ある意識調査では、今年大学卒業の新入社員の4割以上が、企業選びの最優先ポイントに「安定している」ことを上げたそうです。
終身雇用制度が無くなりつつあり、非正規雇用の方も増える中、コロナ禍の影響もあって就職活動をする人が生活や仕事の安定を求める傾向が強くなっているようです。
私は、若い人であれ年齢の高い人であれ、安定志向が悪いこととは思っていません。
会社の安定性、待遇や福利厚生などを重視することは、仕事に対する考え方の一つです。
ただ、相談に来られた方が何をもって「安定」と考えるのだろうと思うことがあります。
ここで私自身がある企業の正社員として働いていた頃の話をします。
小さな会社でしたが経営は安定していて、働きやすい職場でした。
毎月決まった日に給料が振り込まれましたし、休みも取れました。
それでも、生活のために働いていた私は、この会社はずっと継続するのかと不安になることがありました。
また、努力をしても給料に大きな違いがないのなら言われた事だけやればいいという気持ちにもなりました。
すると、仕事に物足りなさを感じるようになりました。
会社は安定していても私の心はどこか不安定だったのです。
では、「安定志向」とはどういうことなのでしょう。
まずは新たな気持ちで仕事を覚える。
あたり前のことをあたり前にする。
仕事に役立つ勉強をする。
くじけそうになれば誰かに助けてもらう。
意見や環境の違う人とも触れ合ってみる、など。
そうして、「自分はここで何とかやっていけそうだ、少しずつ成長している」と感じられることが安定につながると思います。
私が思う「安定志向」は、安定して働くための具体的な努力や工夫を続ける姿勢のことなのです。
キャリアコンサルタント 福積千佳子