HaTaキャリ 夫の早期退職を機に、大都市から地方へ移住して再就職活動を始めた女性③

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HaTaキャリ 夫の早期退職を機に、大都市から地方へ移住して再就職活動を始めた女性③

働きたいあなたへのヒント HaTaキャリ シリーズ10 第3回(2022年4月配信)

働きたいあなたへのヒント HaTaキャリ シリーズ10 第3回(2022年4月配信)

☆シリーズ10 夫の早期退職を機に、大都市から地方へ移住して再就職活動を始めた女性。


小久保さん(仮名)50歳 移住前は民間企業の事務職として勤務 現在移住して就職活動中

家族:夫(57歳 団体職員) 長男(大学生 別居)


 ◇前回のあらすじ

 夫の早期退職を機に大都市から地方都市松山に移住して、自らの仕事を探している小久保さん。キャリアコンサルタントとの面談の中で、職種、給料、雇用形態など就職先に希望する条件や働く目的について考えました。また、就職活動に必要な履歴書の書き方についてアドバイスを受ける中で、自らのキャリアについて振り返って行きました。そうして、松山での働き方や生き方について考え始めたのでした。

 (以下前回からの続き CC=キャリアコンサルタント)


CC=キャリアコンサルタント

「小久保さん、これから事務職のお仕事を探すにあたって、小久保さんの強みや今までの仕事で身につけられたスキルは何だと思いますか?」


小久保さん

「それは先ほどお話したとおり、金融機関と子会社のシステム開発の会社で長く事務をしていましたから、そういう経験とか事務処理能力とかでしょうか…。」


CC

「そうですね。小久保さんは事務職としての経験を長く積んで来られていますから、もう少し具体的に、自信を持っておられるスキルとか、お仕事の中で大切にされてきたことなどはありますか?」


小久保さん

「具体的に、ですか…。自信…大切にしてきたこと?責任感とか、そういうことですか?」


CC

「そうですね。責任感を持って仕事をすることももちろん大切なことですが、小久保さんのキャリアからすると、仕事に責任感を持つのは当たり前の事として、正社員への転職となると、他にも具体的にアピールできるものがあるといいですね。」


小久保さん

「なるほど…学生の就活みたいですね。実は私、金融機関をやめて子会社のシステム開発の会社に再就職する時に少し就活したんですけど、結局前の会社の上司に紹介してもらった子会社に運良く入れたので、自己アピールとかあまり考えたことがなかったのです。履歴書や職務経歴書も、ハローワークでアドバイスしてもらって久しぶりに書いたので…。やはり、50歳過ぎてからの転職って難しいのでしょうか。主人もかなり苦戦していましたし…。」

《ご参考》中高年世代の働く意識(マイナビキャリアサーチLab 2021年5月)より

《ご参考》中高年世代の働く意識(マイナビキャリアサーチLab 2021年5月)より

マイナビ キャリアリサーチLab(中高年世代の働く意識)

※自分のキャリアの市場価値(スキル、経験、実績等が企業にどの程度評価されるか)について、45~54歳では「どちらともいえない」と考えている人の割合が高いです。


CC

「卒業して就職してから長く同じ会社に勤めておられて転職のご経験は少ないわけですから、就職活動でわからないことや不安があるのも当然でしょう。小久保さんの今度の移住や就職活動は大きな転機ですから、これまでのお仕事や働き方を振り返ってみることは、就職活動にも役立つことになると思います。このようなシート(ジョブカード 様式1-1 キャリア・プランシート)を使って、まずは箇条書きでかまいませんので思いついたことを書き出してみませんか。」


《ご参考》ジョブ・カード制度 総合サイト(厚生労働省)

ホーム→ジョブ・カードとは→ジョブ・カードの様式と記入例


小久保さん

「そういうものがあるのですね。でも、どのようなことを書いたらいいのでしょう?前の会社では人事評価制度がありましたけど、そのような前の会社の評価のことでもいいのでしょうか?」


CC

「もちろん前の会社での小久保さんの評価も、差しつかえなければ書いていただいてかまいませんよ。その中で今後の仕事に生かせるようなスキルや経験をなるべく書いてみてください。それから、小久保さんのスキルを表現する時に、次のような仕事に必要なスキルを表す言葉を参考にしてみてください。次回の面談までに書けるところまででかまいませんから書いて来ていただけたら、後は一緒に考えて行きましょう。他に何か気になることはありますか?」

《ご参考》仕事をするうえで必要な3つの基本的なスキル(カッツの3能力)

《ご参考》仕事をするうえで必要な3つの基本的なスキル(カッツの3能力)

※例えば、現場のスタッフ・担当者として業務を行ってきた方は、実務能力である「テクニカルスキル」と、組織やチーム内での「ヒューマンスキル」のところを参照してください。


小久保さん

「あの、面接のことでお聞きしたいのですがいいですか?実は、ハローワークで紹介された所に一度だけ面接を受けに行ったことがあるんです。そうしたら、前の会社の退職理由を聞かれるのはいいとして、『なぜ子供を残して移住したのか』とか、『主人がどんな仕事をしているのか』とか、『松山に住み続けるつもりでいるのか』とか、なぜそんなことまで聞くのかというようなことを聞かれて答えに困ったことがあります。適当に答えはしましたけど、そういうことってよく聞かれるのでしょうか?松山に住み続けるために仕事を探しているのに、松山に住み続けるのかなんて質問は違和感ありました。どこまで答えなければいけないものでしょうか?」

《ご参考》公正な採用選考の基本(厚生労働省)

《ご参考》公正な採用選考の基本(厚生労働省)

厚生労働省(公正な採用選考の基本)


CC

「面接では、相手から聞かれたことに簡潔に誠実に答えるのが基本ですが、小久保さん自身の適性や能力に関係がない事で答えたくない質問には答えなくても良いですよ。ただ、質問を無視するわけにはいかないでしょうから、例えば、『プライベートなことですので答えは控えさせていただけますでしょうか?』とか、『ご質問の答えは採用に影響しますでしょうか?』などと、かわしたら良いと思います。先ほどのお話ですと、おそらく先方は小久保さんが長く働いてくれるかということを確かめたかったのだろうと思いますが、小久保さんが答えられる範囲で答えるのも良いし、違和感を感じたのなら、答えを控えても良いでしょう。」


小久保さん

「そうですね。その応募先は採用になりませんでしたけど、それで良かったと思います。でも、今後の面接で同じような質問をされたら、何か答えないとちょっと気まずい雰囲気になりますよね。」


CC

「ただ、答えに詰まって沈黙するよりは、さらっとかわす方が良いと思いますよ。面接は、採用する方も応募する方も対等な立場と考えると、小久保さんの方も相手を知る良い機会ですから、面接官の対応や職場の雰囲気などもよく見て、そこで働くかどうかの判断をされた方が良いと思います。それから、面接で聞かれそうなことは、小久保さんなら移住転職の理由などは、あらかじめ応募書類の自己PRや応募理由の中にできるだけ入れておくと、面接対策にもなると思いますよ。」


小久保さん

「なるほど、履歴書や職務経歴書にそういうことを書いていなかったから、面接で突っ込んで聞かれたのかもしれません。どんな風に書いたらいいか、次回教えてください。」


《ご参考》転職・再就職の面接でよく聞かれること

☞中途採用面接では、主に下記の3点について答えられるように準備しておくことが大事です。
そのためには、ご自身のキャリアの棚卸(たなおろし)や自己分析、応募する仕事の職種や内容の理解が必要です。
ハローワークなどの就職・就労支援機関でキャリアコンサルタントに相談してみましょう。

〇職務経歴と業務内容や実務経験
〇退職理由、転職理由
〇自己PRと志望動機


CC

「わかりました。面接は、うまく見せようとするよりも、自分の能力や経験や意欲を伝えることの方が大事ですから。ところで、小久保さん。こちらに来てから短期の派遣のお仕事をされたと言われましたが、それはどのようなお仕事だったのですか?」


小久保さん

「ええ、百貨店のギフトの包装の仕事です。繁忙期だけの仕事だったので、松山の知り合いを作ろうと思ってやってみたんです。学生時代にそういうアルバイトをしたことはありましたけど、新鮮でしたね。私と同年代くらいの方もいましたけど、年下の子にやり方を教えてもらってやりました。そこで若いお友達もできたのでやってみてよかったです。1か月くらいやって終わった時に派遣先の担当の方から、また繁忙期になったら手伝ってくださいと言われて嬉しかったですね。」


CC

「今までの事務のお仕事とは違ったお仕事の経験をされて、新鮮に感じたのですね。ギフトの包装のお仕事が終わった時に、派遣会社からは他のお仕事の紹介はありましたか?」

《ご参考》正社員と派遣社員での勤務・働き方の比較 (2021年 派遣社員の意識・就労実態調査 マイナビキャリアサーチLab)

《ご参考》正社員と派遣社員での勤務・働き方の比較 (2021年 派遣社員の意識・就労実態調査 マイナビキャリアサーチLab)

マイナビ キャリアリサーチLab(派遣社員の意識・就労実態調査/2021年)

つづく


次回予告

地方に移住して再就職をするという転機にある小久保さんは、自分のキャリアを振り返り、これからの自分に合った仕事や働き方について思いや考え方を整理して行きます。また、松山での夫婦のくらしやライフデザインについて具体的にイメージして行きます。そして、就職活動においては現実と向き合いながら、できることから行動に移して行きます。

以上

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